「妙な言い方になりますけれども、中心的な見通しとしてこういうことであるという見通しを 24、25、26年度について出しているわけで、例えば24[年度]については、その可能性はかなり高いと思いますけれども、25、26[年度]と先に行くほど 100%で当たるというところからは、かなり確度は下になっているということだと思います。マーケットの価格形成はそういうところまでも織り込んでなされていると思いますので、中心的な見通しがどうかという質問だけを投げかければ(中略)差はそれほど大きくないかもしれないと思います。しかし、いろいろなリスクシナリオを考えた際に、現状程度の長期金利水準になるということは十分あり得ると思います。両者が収束していくのは、お互いにどちらが先行するか分かりませんが、もう少し先の見通しに関する確度がもう一、二段階上がったときに収束の動きがもう少しみえてくるかなとは思います」

いずれにしろ10月初頭時点では「Fedの利下げサイクル入りが実現した今、日本の長期金利が1%を大きく上回る可能性はこれまで以上に低くなっている」としていたが、長期金利は既に再び1.1%に近付いており、大統領選前後の日米同時金利上昇リスクを過小評価していた形となる。

もっともそれでも「大きくは上回らない」を捨てたわけではない。たとえ途中でマクロ要因で挫折せず、政策金利が無事に2025年末に1%に到達したとしても、制限的な領域に向けた更なる利上げを長短金利差で織込むのはハードルが高く、今既に織り込まれている利上げが実現していくだけなら長期金利の水準は変化しない。

「利上げ織込みが足りない理由」として、0.5%以上への利上げについて「経験をしていないものを想像するのが難しい」ことが挙げられており、本ブログなどはまさにその状態である。

とはいえ政策金利0.25%に対して長期金利が80bpほど上にいるのは2、3年中の75bpの追加利上げが織込まれているからであって、何もタームプレミアムが80bpという話ではないので、政策金利が1%に到達した時点で長期金利もパラレルに80bp足して1%後半になると主張するようでは、そもそも債券投資の経験が足りないのではないか。