コアコアCPIはスティッキーながらも2%近辺で概ね安定しており、サービス価格は1.5%近辺と、日銀が目指す2%インフレ目標と概ね整合的である。
仮に内生的なインフレ圧力がどちらの方向にしろコントロールから外れる様相を呈するなら、金融政策は再びドル円云々以前にそれらの制約を受けるようになるだろう。それは同時にコア・メッセージの前提である「オントラック」からの離脱も意味するが、あくまでも仮定の話である。
日本銀行は表立って「為替レートを気にしながら、或いは為替レートのために金融政策を行っている」と認めることはない。金融政策に影響を与えるのはあくまでも「為替レートの変動(と国際商品市況)の国内物価への波及」である。
同じことを言っているようだが重要な違いである。記者会見における質問者のリテラシーは会合を追うごとに見事に向上しており、「どうやったら円安を止められますか」「会合の後に円安に進んでしまっていますが」といった直球な質問は減っている。
仮に円安への無作為がじれったいのであれば、あくまでも輸入物価を切り口にしながら、例えば
「一層の円安進行により輸入物価が今後上振れするリスクが高まったと考えられますが、それは今後の金融政策にいつどのように反映されますか」 「輸入物価による物価上振れ効果は単年度で終わるのか、円安の進行が止まっても数年かけて遅行的に続くのか、もし後者なら輸入物価由来の上振れ余地を過小評価している可能性はありますか」 「仮に将来賃金やサービス物価等から推測される”第二の力”がもたらす物価上昇率が2%を下回ると判明した場合、物価上昇率を2%に到達させるために、わざと輸入物価を高めに持ち上げるような金融政策を志向する可能性はありますか」
といった聞き方の方が収穫が得られやすそうである。
トランプ政権爆誕減税、関税、移民減を掲げるトランプ政権の存在は事態を少し複雑にする。選挙中の発言から関税の対象が中国や近隣諸国から日本、欧州まで拡大される可能性もあり、その場合はドル高が進行しやすいと幅広く思われている。保護貿易の推進者であるライトハイザーなどは明確にドル安を志向しているにもかかわらずである。