会合ごとにスタンスが一定しないから、会合前にリークで市場参加者の目線を安定させる必要がなくならないのだ。真面目に考えられたものであればあるほど説明にはデュレーションがかかってしまい、ある会合における説明は次の会合直前まで否定されない。

しかし決定内容のデュレーションは説明のデュレーションよりも短い。会合1日目が終わった日の深夜(翌朝2時に日本経済新聞が公表)は恐らく政府側の参加者が喋っているのでコントロールできない。会合の数日前から徐々に始まる方のリークについては、日銀側としてはリークしているつもりはないだろうが、ただの説明ロジックの解説であったとしても同様である。

市場参加者は事前の解説に依存しきっており、どこかの記者会見で「次からは金融政策を黙って決めます」と言うまで、「事前解説がなければ政策変更はない」と考えることになる。

次の利上げは引続き為替次第

12月か1月のどちらかにはどうも0.5%への利上げが来そう、まで分かったとしてどちらの月になるか。

2会合パッケージの中では展望レポート回の方がスタンス変更を説明しやすいが、「経済・物価の見通しが実現するなら利上げが続く」というコア・メッセージに変更がないなら、YCC・マイナス金利レジームからの転換プロセスと違って、利上げをことさら展望レポート回にぶつける必要もない。もはや利上げ実行はスタンス変更ではないからだ。

どちらの月にするかは直前になって為替レートや金融市場の雰囲気等も見ながら決定することになるが、コア・メッセージとそれが示唆するペースが崩れない限り、月の選択を深読みすべきではない。

具体的な利上げ月の選択では政治イベントも考慮される。例えばマイナス金利撤廃の次の利上げは9月でもよかったはずだが、わずか4ヶ月後の7月になったのは想定以上の円安圧力に加え、自民党総裁選が控えている9月、10月を避けたとの判断もあったと思われる。新たな政権の方向性には不確実性があり、それと直ちに衝突したとなると金融政策への信認が揺らぐからである。