アニメやマンガで例えるならば、ファインマン物理学は昔から人気の「バトルもの」で、インフレーション宇宙論のほうは近年人気な「日常系」と言えるほど違いがあります。
次に研究者たちは、これら異なる数式集に使われている記号の頻度を分析しました。
すると驚くべきことに系統の異なる3つの数式集は全てジップの法則に従っていることが明らかになりました。
この結果は、人類が長年をかけて発見してきた、さまざまな物理法則の数式は、自然という巨大なゾウを異なる側面から見ていた可能性を示しています。
あるいは音楽でたとえるならば、人類は「自然法則」という1つの曲を、変調させることで、電磁気学、熱力学、量子力学など個々の数式を何度も焼き直すようにして「新発見」してきたとも言えます。
またその場合、さまざまな物理法則の背景には隠された裏ルールのようなものが存在することになるでしょう。
研究者たちも「方程式1つ1つは個々の物理現象を正確に予測している。しかし方程式全体が従うパターンには、この宇宙そのものの性質にかんする情報が隠されている可能性がある」と述べています。
しかし研究では別の説明も検討されています。
研究者たちは、この結果が人間の言語的な性質を反映しているに過ぎない可能性もあると述べています。
人間は言語を獲得する過程で、できるだけ少ない単語でコミュニケーションを効率的に行おうとします。
そのためよく使う単語が限られ使用頻度に偏りが生まれます。
つまり、数式もある意味では言語であるため、言語の延長として数式にジップの法則が現れたに過ぎないとする説です。
この場合、方程式がシンプルであることに美しさを感じる物理学者たちの美意識も要因に含まれるでしょう。
研究者たちは、この2つの説明は同時に当てはまる可能性があると述べています。