現役時代は身長189cmを誇る長身を生かし、川崎フロンターレのDFとして活躍し、身長183cmの伊藤宏樹、187cmの箕輪義信と組んだ3バックは「川崎山脈」と呼ばれた。

現在49歳の寺田監督は引退後、川崎のコーチを務め(2020-23)、今季から福島の監督に就任。初の監督業への挑戦となったが、J3の中でも下位の人件費のチームを率い、攻撃的サッカーを志向しながら結果も出したことで、鬼木達監督が退任した川崎の次期監督候補にも名前が挙がった。続投のニュースには、サポーターも一安心したことだろう。

福島は当然ながらJ2昇格を目指してプレーオフに挑むのだが、例え敗退して来季もJ3を戦うことになったとしても、ポジティブに捉えることもできる。長期的視点に立てば、J2に昇格して守備に追われるよりも、寺田監督が理想とする攻撃的なチームを構築するにあたっては却って良いのではないか。

16ゴールを記録した生え抜きFW塩浜遼や、背番号10を背負うFW森晃太、滝川二高時代に2010年の全国高校サッカーで得点王に輝いたFW樋口寛規を軸に、川崎からのレンタル選手の19歳MF大関友翔、20歳の左サイドバックDF松長根悠仁らが噛み合うチーム構成。好成績に繋げたが、沼津戦でもゴールを決めた大関と松長の去就が、来2025シーズンの福島の命運を握っている。


長澤徹監督 写真:Getty Images

大宮アルディージャ:長澤徹監督

評価:★★★★★/続投可能性:90%

まさに「圧倒」といえる強さだった大宮アルディージャ。開幕10戦を7勝3引き分けで第5節に首位に立つと、その座を一度も譲ることなく独走。シーズンを通して2敗しかせずに、2位のFC今治に勝ち点差15を付け、他チームのサポーターに「なぜこのチームがJ3に降格したのか?」と感じさせるほどの昇格劇だった。

リーグ最少タイの総失点「32」という守備の固さはもちろん、リーグ最多の総得点が「72」でありながら、トップスコアラーはFW杉本健勇の10得点。2桁得点は彼のみで、どこからでも得点できるのがチームの強みだ。長澤徹監督は、かつてクラブ最高成績でJ1昇格プレーオフに導いたファジアーノ岡山時代(2015-18)と同様、選手にはハードワークを求め、堅実なチームを作り上げた。