ただしこれまでのところ、地方創生でも一人のリーダーが実行力と統率力双方に優れていることは稀なので、リーダーシップは集団指導体制による方がうまくいきやすい。
リーダーシップのPM理論の応用2013年から始まった地方創生政策は、旧来の国土設計思想である新全総や列島改造論などにみる平準化志向とは異質な特徴をもっていて、むしろ格差を是とする競争原理に裏打ちされた政策である。そのためにも、地方創生に関わるリーダーシップは、「実行力」(P、パフォーマンス)と「統率力」(M、メインテナンス)の二本立てになる(三隅、1984)。
資源(R、リソース)社会学では、確実に社会的な価値がある目標を達成する手段になるものはすべて資源(R、リソース)とみなすから、天然資源だけではなく、地理的資源、産業的資源、歴史的資源、人的資源などとしてもよく使われる。したがって、地方創生にも産業分野である農業資源が用いられるのは当然だが、その社会資源はもちろん農業だけには限定されない。
むしろ地場産業の一環として農業を正しく位置づけ、地理的特性や産業的利点を活かした各種製造業(織物、陶磁器、家具、伝統工芸、特産品など)と観光資源(歴史的建造物、自然景観、食文化など)と組み合わせる方向性(D)が望ましい。
ゴジラがシンボル今回は、その方向(D)のシンボルに生誕70周年になるゴジラを使った福岡県筑前町での試みを紹介したい。しかも、稲わらによる「わらゴジラ」であり、地産地消の実践になった。
いうまでもなくゴジラは1954年に公開された国産の「大怪獣」である。監督は本多猪四郎、特撮技術監督が円谷英二、脚本が村田武雄、そしてゴジラ登場シーンで繰り返し流されて、当時の子どもでも覚えたゴジラ映画音楽は伊福部昭が担当した。それは単なる怪獣モノではなく、当初は同じ時期に「第五福竜丸事件」に触発された反水爆を根底に持つ社会派作品としても位置付けられてきた。