7. 自衛隊が繰り出す最新鋭の科学的武器が水爆汚染ゴジラには威力を発揮できなかった場合も多く、そのことにより高度文明の限界が伝わってきた。
合併20周年記念のゴジラさて、今回ゴジラが出たのは福岡県筑前町安の里公園ふれあいファームである。所用で11月中旬に福岡と佐賀に出かけていて、たまたま新聞でそれを知り、現地に出かけてみた。そこでのゴジラは、2005年に夜須町と三輪町が対等合併してできた筑前町20周年記念の作品であり、写真3葉のように、私の印象では第1回のゴジラをモデルにしたような姿であった。
その筑前町は福岡県のほぼ中央部に位置して、肥沃な田園地帯が広がり、農業を主力産業とする。米、麦、大豆、野菜、果物などの農産物の他に養鶏業も盛んで、自給率は150%を超える3万人ほどの農村である。
「巨大わらかがし」としての「わら細工」のゴジラ私が注目したのは、ゴジラの製作が「わら細工」使用だったからである。
農業地帯なので、コメの収穫後には稲わらがたくさん出るが、これは文字通り地元資源である。それを徹底活用していくつもの工程を経由しながら、最終的に高さ10mで体重5.7トン、そして口先から尾の先端までが11.7mの巨大ゴジラを作り上げた住民の熱意とリーダーシップ(L)が伝わってきた。
その狙い(D)は、生誕70周年を迎えたゴジラの製作を、筑前町合併20周年記念行事の一環に組みこむことにあった。
10年の歴史を持つ「巨大わらかがし」製作しかし、それは一朝一夕に完成した作品ではない。合併して成立した筑前町10周年記念行事として始まった「巨大わらかがし」としての毎年の作品作りが先行していて、イノシシ、零戦、ティラノサウルス、大仏など9作品の経験がこれまでにあった。そして今回その延長線上に、20周年記念として「ゴジラ」作品が誕生したのである。