加えて、収穫後の稲わらは秋の資源として「豊穣の象徴」でもある。この資源をメインにして、「筑前若者(わっかもん)会」、町民の有志、ボランティアなど300人が力を合わせて、1カ月半の作業により「わらゴジラ」が完成したのである。

結果として、例年の2.5倍のわらを使い、過去最大の「巨大わらかがし」が誕生し、ギネス世界記録にも「わらで作った最も大きいフィクションのキャラクター像」として認定された。

作業の工程

製作にはいくつもの工程があり、まとめると、①稲刈り後のわら取り、②ゴジラの設計図書き、③土台作り、④鉄鋼に木材や竹を使った骨組みづくり、⑤竹張り、⑥部分製作、⑦「とば編み」といわれる編み込んだわらで肉付けして、手足や体全体の製作、⑧顔製作、⑨全身へのわら貼りなどに分けられた。

2月下旬には解体

9月中旬から作業に入り、11月初めに完成して、安の里公園ふれあいファームに置かれた「わらゴジラ」は、2025年2月下旬には解体される予定だという。

何しろ太陽光に加えて、雨風雪などに24時間見舞われるため、稲わらが劣化するのは避けられないい。これまでの9作の「巨大わらかがし」も同じ運命をたどったようである。

電線の鉄塔とゴジラ

ゴジラ映画のファンならば、映画の何シーンかでは、ゴジラが日本各地に上陸したあと、電線の鉄塔をなぎ倒して前進する姿をご記憶であろう。「写真3」はまさしくそのなぎ倒す直前にあり、この配置に感動したのは私だけではなさそうであった。

安の里公園ふれあいファームに滞在したのはせいぜい30分程度であったが、カメラ持参の同好の士とおぼしき人たちもまた、このゴジラと電線の鉄塔の配置の見事さに感嘆の声を上げていた。

コミュニティのDLR理論からのまとめ

今回製作された「わらゴジラ」は、D(方向性)の観点から言えば、農業・農村に特化した筑前町における五穀豊穣・収穫感謝祭の象徴である。そのうえで、生誕70周年で世界的に周知されているゴジラを収穫後の稲わらによって製作し、これを合併20周年記念のモニュメントにしたところもまた、石破内閣が重視する地方創生としての「まちづくり」の方向性が鮮明に認められる。