比率が高いのがメガバンクと地方銀行である。いわゆる雨傘理論※5)がまかり通っている。
※5)雨が降っているときは傘(融資)を貸してくれず、雨が上がって晴天(好景気)になると傘を押し付けてくる。
信用金庫の比率はかなり低く、信用組合に至っては0.4%である。ここでは顧客企業と金融機関の関係が安定しているのである。ここでの問題は、期待されている銀行力を金融機関の側が発揮できるかどうかであるが、それこそ人材の問題、社員研修の問題である。
大企業と大銀行の場合企業と金融機関の関係には普遍的な発展がある。企業はモノ・サービスの生産にそれぞれの能力を保有している。しかし資本の循環過程でそれらはお金に変換するから、その管理という問題が生じる。
大きな企業ではその専門部署が形成される。金融機関の最初のつきあいはここに始まる。経理部門の仕事の最大一は資金繰りであるから、ここで生じるのは貨幣の前貸しであり、これを利用して企業の回転速度は上昇する。金融機関の貢献が決定的になるのは企業が量的に拡大しようとするときだ。
利潤の蓄積を待っていては何年かかるかわからないことが明日にも可能になる。量的拡大は企業にとって競争戦を勝ち抜くための主要な戦略である。かくして、金融機関は金銭の出納・管理という、いわば経理部のお友達のような控え目な役柄から、競争戦に不可欠の戦略パートナーに変身する。
金融資本この変身が大企業との関係の進化の過程で生じると、かのR.ヒルファディングが示した金融資本になる。金融資本は資本主義を最高度に発展させるが、反面、人々を抑圧し、外に向けては帝国主義となり人類に大きな危険をもたらしたのだが、ここでは措いておく注2)。
小企業と金融機関の間では金融資本は発生しないとだけ言っておこう。ここでの競争は健在である。どの企業も自分のパートナーとしての金融機関と手を携えている。数が多いから独占構造が生じないのである。また金融資本にみられるような、金融機関による企業支配という問題も生じない。