制度が開始され、無利子期間が終わる3年前に、既に半分は返済されている!
つまり必要ない、特定の目的がないのに無利子で無担保ならとりあえず“借りておく”というケースがかなりあったのである。この“とりあえず”は金融機関にとっても新規顧客の開拓に好都合なセールストークであった。
北海道の場合ゼロゼロ融資の顛末については、まだ全国の統計はない(作成しないのかもしれない)。そこで公表されている地方の、ここでは筆者の地元の北海道について公表された資料を見ていこう(図5)。
信用保証承諾件数をみると2019年度(2020年3月末まで)の一年間に79,660件とグラフは突出している。過去の、貸し渋り対策やリーマン不況のあとの緊急保証の期間でも承諾件は数増えたが4~5万件であるから突出ぶりは顕著である。
保証残高はどうなったか。これは返済されれば当然だが減る。その部分だけのグラフを示す。
まず件数。2022年度12万1,156件が2023年度末には11万1,196件に、約1万件減少(9月末)している。2024年度にはついては半期の利用者が発表されている。2023年度 5万5,991人→5万5,571人。減少がそれほどでないのは、延長措置(これを伴走支援と呼ぶ)があるからである。保証金額は2020年ピークの1兆6,180億円から2023年度末で1兆2,830億円になった。
代位弁済(借り手が返済不能になり、信用保証協会が金融機関に返済する)についてみてみよう。制度が発足した当初、そして3年の無利子期間が終了する頃には、かなり悪い予想があった。全体の2割ぐらいは・・・というのがそれだ。しかし、現在までのところ、北海道で見る限り代位弁済率は年率で1.4%(金額で200億円)と“普段”と変わらないか、むしろやや低く目である。