全国の状況は「東洋経済」に譲って、本稿では北海道に限定して注目点を以下に整理した。「地方創生」を課題とするなら、地域限定の検討も必要だろう。

北海道内には20の信用金庫がある。

資産構成をみると、株式の保有が目立つのはひとつの信用金庫のみ。全体では国債の保有量は多いが、近年は減らしている。地方債の保有は増えている。

貸金が項目として最大なのは当然だが、次に大きい比重を占めているのは預け金である。信金業界の場合、その預け先は信金中金であり、その先はやはり日銀である。

預貸率には大きな差がある。W信金は16.95%だ。この信金の地元はかって漁業の基地として繁栄した。そのため預金量は大きいが、町が衰退したため貸出先が少なく極端に低い預貸率になってしまう。そこで代々の経営者は有価証券運用に積極的だった。債券の運用に依存しているから利上げには大きく影響を受ける。預貸率が全国並みの70%以上のところは4金庫。札幌や、他の主要都市を除けば、貸出先に困っている。

有価証券の含み損は全金庫が抱えている。保有デュレーションは長めである。その総額は年々増加している。総資産との比率が5%の危機ラインを超えているところが6金庫あり、先に述べた積極的に株式保有を進めたD金庫だけが評価益を計上している。

利益をみると、脱コロナの影響で貸出が復活し、その分、利益は増えている。日銀からの預け金利息が第二項目なのは地方銀行と変わらない。

人件費は費用の最大項目だが各金庫とも減少している。しかし地方銀行程に大幅ではない。

税金には注目しておいた方がよい。信用金庫は組織上協同組合であるから法人税の軽減措置を受けている(2024年現在で資本金が1億円を超える普通法人については法人税の税率が23.2%のところ、協同組合等の税率は19%。さらに所得800万円以下の部分については、時限的に15%へと軽減されている)。

ゼロゼロ融資の功罪

コロナ禍で中小企業対策として実施された無利子・無担保の緊急融資のこと。2020年に受付が開始され2022年の9月まで行われた。2022年6月時点の融資件数は243万件、融資金額は約42兆円という大型政策である。