仕組債については実績を示す資料は多くないが、みずほ証券が2024年3月末現在の実績を示すレポートを公表している※3)。

※3)「当社で取扱った複雑な仕組債のリスクリターン実績」(みずほ証券 2024年)

仕組債にはいくつかのタイプがあるが、個別の株式銘柄を対象にしたものと、TOPIXなどのインデックスを対象(ターゲット)にしたものがある。レポートをみると、3月末時点で未償還が多く、それだけに8月暴落の影響を受けたものが少なくないと想像される。

一年と少し前、金融庁は仕組債に関する銀行向けのアンケート調査を実施している※4)。

※4)「地域銀行 100行におけるリスク性商品販売・管理態勢に関するアンケート調査」(2023年4月。以下、「金融庁アンケート」)

回答する銀行に甘い設問が多いのだが、いくつか興味深いものがある。

図1 経営陣(頭取を含む)は商品性等を踏まえて、金融商品の導入を判断しているか 出典:金融庁アンケート、P.9

堂々と“判断していない”と回答している。その比率が15%もある。

仕組債は手数料が高く儲かるビジネスだったが、それだけに組成コストの開示が要求されていた。機関投資家にしてみれば当然のことであるが、これへの回答が以下に示されている。

図2 仕組債の組成コストの開示 出典:金融庁アンケート、P.9

開示対応済は8%だ。このようなやや危険な商品を売るのだから、リターンとリスクを検証して顧客に示すのは当然の事と思われるが、検証済は12%しかない。なお、これは銀行を対象にしたアンケートで、仕組債を販売した証券会社についてではない。

信金

前掲の「東洋経済」が信用金庫の現況についても書いている。金利が上昇したことにより保有国債の評価損が膨らむことを懸念している。信用金庫の保有国債は残存期間が長いことも心配材料だ。同誌によれば、有価証券のすべてが国債というところも7金庫ある(東洋経済、P.47の表)。