ごく最近発表された2024年9月中間期決算では25行が減益か赤字であるから、金融庁の悪い予想に近づいている。

メガ3行の中間決算は海外融資の好調を反映して前年比36%増の2兆5,495億円であった。地方銀行は90行合計で6,778億円、前年比25%増とはいえメガバンクとの格差は拡大している。つまり格差は二重、ひとつはメガバンクとの格差、もうひとつは地方銀行間でのそれである。

地銀証券の二極化

ついでに言えば、地銀系証券会社も二極化している。2024年3月期決算で5社は赤字である。仕組債の販売を止められたことで収益源のひとつを失ったことも原因である※1)。

※1)2023年6月、金融庁は千葉銀行と千葉証券に対して、仕組債販売に問題があるとして業務改善命令を出した。

処分の理由は以下のとおり。

千葉銀行と千葉証券は、投資経験が乏しい顧客にも、仕組債を勧誘・販売していた。 勧誘・販売の際には、顧客の知識や投資目的などを十分に把握していなかった。 仕組債のリスクを十分に説明していなかった。

なぜ、仕組債を販売したかといえば、ハイリスク・ハイリターンを求める顧客のニーズに応じるという額面解答の上に、販売にかかる利益が大きかったからである。

販売時の手数料が、ゼロ金利の時代に1~5%。そして年間の信託報酬が0.1~0.5%。そして、仕組債を売買するときに販売者が仕切りといって、売りには買いで、買いでは売りで対応するのだが、その際の売り値と買い値の差額(スプレッド)も利益であった。

まさに、おいしいビジネスの仕組み債も、この命令をきっかけに終了したのである。

8月暴落の影響はこれから露出する。仕組債といえば、これも8月暴落でノックイン※2)してしまったものもあるようだ。一度でもノックインすれば償還条件などが変更されてしまう。株価が戻っても元本は保証されない場合もある。

※2)あらかじめ定められた株価の水準以下になると、これをノックインという。そうなると償還に際して額面割れとなる可能性がある。債券の期間中に一度でもノックインすると、その後、株価が回復しても、ノックインンしたことになるから、8月暴落でそうなった仕組債は少なくないはずである。