さらに別の研究では、より明白な結果が得られました。
この研究では海藻がヨウ素ガスを放出する性質があるという点を発端にしています。
そこで研究者たちは沿岸部で近くに海藻が豊富に存在する場所、沿岸部だが海藻が少ない場所、内陸部の農村に住む子供たちの尿中ヨウ素濃度の比較を行いました。
調査にあたっては、どの場所に住む子供たちも食事からとっているヨウ素の量が同量であることが事前に確認されています。
結果、海藻が豊富な場所の子供たちの尿中ヨウ素は、他の海藻と無縁な地域と比べて2.7倍も高いことが判明。
またヨウ素欠乏症の可能性のある子供の割合も海藻が豊富なグループ、海藻が少ないグループ、内陸の農村のグループを比較すると、8.7%、14.5%、37.6%となっていました。
さらに大気中のヨウ素濃度は、海藻が豊富な地域は農村部に比べて11倍に達していることも確認されました。
この結果は、人間は海藻から放出するガスを空気を介して吸入することで、1日の必要量のかなりの割合を摂取している可能性を示しています。
これらの結果は、亜鉛やマンガン、ヨウ素などの複数の必須ミネラルのかなりの量を、人間は呼吸によって(時には過剰なレベルまで)補給できることを示しています。
「故郷である海辺の空気を吸うと元気になる」という経験をした人は、ジャンクフードばかり食べていたせいでヨウ素不足を発症させていたのかもしれません。
他にも鼻から吸収できると考えられてる栄養素には、カルシウム、マグネシウム、鉄、そしてビタミンCが含まれています。
ただ、これらについてはマンガンやヨウ素ほどの詳細な検証は進んでおらず断言はできない状態にあります。