DAZN側から見れば、Jリーグを視聴する術が他にないことで、応援するクラブの試合を見るという“推し行為”でもある消費者心理を巧みに突いた合理的な経営判断ともいえる。
また現在、DAZNは度重なるサービスの改悪によって、裁判に訴えられてもいる。従来「1契約につき2デバイスでの同時視聴が可能」とされていたものの「同じIPアドレスに限る」とされたためだ。簡単に言えば、自宅と外出先での同時視聴が不可能となるものだ。
これに異を唱え訴えたのは、東京ヴェルディサポーターの都内の大学生「おさしみ」氏。法学部で学ぶ同氏は弁護士も付けずに独りで、世界でサービスを展開している巨大プラットフォームと闘っている。例えDAZNがこの裁判に敗訴したとしても、IPアドレスの制限を解除し、場所を問わずに2デバイスでの同時視聴を可能にするだけで良く、金銭的賠償を伴うものではない。しかしながら、DAZNへのイメージや信用が低下することは必至で、2028シーズンまでのJリーグとの配信契約が全うされるかも疑わしくなってくる。
サッカーコンテンツの劣化の裏には、Jリーグの視聴者数の先細りが指摘されているが、コンテンツがスポーツに限られていることで、ドラマや映画、バラエティーも含む他のサブスクサービスと比べ、利用者の裾野を広げることが困難なことが一番の理由だろう。短期的に見て、値上げによって既存のユーザーから売り上げを増やしていくしかないのが、DAZNが置かれた現状なのだと思われる。