私も現役時代、訪米するたびにワシントンD.C.の連邦議会付属の議会調査局(CRS)で色々な専門家に会い、意見交換をしました。彼らはほぼ全員博士号か修士号を持ち、立法作業の経験も豊富で、連邦議会を裏でしっかり支えているとの印象を受けました。
日本のように、当選回数の少ない若い政治家が、次の選挙に備えて東京と選挙区の往復で時間を取られ、十分勉強もしていられないようでは政治の質が向上するはずがありません。昔からよく言われるように「(選挙に)出たい人より出したい人」が立候補できるようなシステムを創り出すための工夫が求められます。
世襲政治家の功罪さらに日本の場合、政治家の世襲の問題があります。例えば、現行憲法の下で内閣総理大臣になった政治家は石破茂氏までで34人。その中で、2親等内の親族(祖父母、父母、兄弟姉妹、子、孫)が国会議員である、または、あった政治家は実に26人もいます(石破氏の父は鳥取県知事、衆議院議員、祖父も知事経験者)。
私は世襲政治家が一概に悪いとは思っておらず、要は当人の実力があるかどうかだと考えています。ただ、知名度の点で世襲政治家が有利なのは明らかなので、ある程度の制限(ハンディキャップ)を課すのは良いと思います(例えば、父親と同じ選挙区からの立候補は一定期間禁止するなど)。
私は国内政治や選挙制度の専門家ではないし、いまさら公職選挙に出る気もありませんが、一人の有権者として関心はあるので、これらの点についても、別の機会にさらに論じてみたいと考えています。
(2024年11月18日付東愛知新聞 令和つれづれ草より転載)