古くは、ギリシャ・ローマ時代から何千年もかけて、多くの試行錯誤を経て現在のような形になったものであることは誰でも知っている通り。
英語の「デモクラシー」の語源は古代ギリシャ語で人民・民衆を意味する「デモス」と、権力や支配を意味する「クラトス」を組み合わせたもので、「人民権力」「民衆支配」「国民主権」などの意味を持つとされます。つまり、現代民主主義国家では、人々は選挙権を行使して自らの代行者(代議員)を選ぶ。選ばれた代議員は自己を選出した人々の意思を代行し、多数決・法治主義の下に権力を行使するということです。
そこで民主主義の基盤となるのは選挙です。古代ヨーロッパの都市国家や、現在でもスイスのように人口の少ない国では、直接民主主義制で、原則的に全国民(市民)が審議や決定に参加しますが、大部分の国では間接民主主義制をとっています。その場合でも、昔は哲人(知的エリート)や貴族など上流階級の人たちが選ばれて議会を構成していましたが、幾度かの革命や政治改革を経て現在のような普通選挙になりました。
日本では明治、大正時代を通じて普通選挙制度が徐々に普及しましたが、今のように、女性を含めて、一人一票の完全な普通選挙制になったのは戦後、新憲法になってからです。だからその歴史は浅く、今後もいろいろな試行錯誤を繰り返しながら改善されていくべきものだと言えます。
様々な民主主義の形態諸外国の例を見ても、一口に選挙に基づく民主主義制度と言っても実態は様々です。例えば、現在のロシアのように形式上大統領選挙制をとっているものの、プーチン氏が20年余にわたって大統領に居座っている国、北朝鮮のように完全に金一家の世襲制なのに、国名ではちゃっかり「朝鮮民主主義共和国」(DPRK)を名乗っている国など様々。
また、変わったところでは、昔インドネシアで、独立後長年政権を担当したスカルノ大統領(日本のテレビなどでおなじみのデヴィ夫人の夫)は、「指導された民主主義」(Guided Democracy)の提唱者として有名でした。私は面白い概念だと思い、成り行きを注目していましたが、しかし彼自身、最後はクーデターに遭い志半ばで失脚してしまいました。