このほかにも民主主義のチャンピオンと謳われた政治家や英雄は東西古今多数いますが、百点満点の民主主義を実行した国や政治家はいまだかつてどこにも存在したことがありません。人類永遠の課題と言えましょう。

日本の政治と選挙制度の問題点

翻って、現在の日本の状況についてですが、アメリカとは別の意味で、民主主義の危機が迫っているように思われます。とくにこの半年ほどは、自民党の「裏金」問題で政界は大騒ぎで、今回の総選挙でも最大の争点になり、そのため石破・自民党は大敗しましたが、この窮地を自民党がどう切り抜けられるかが注目されます。

この問題の根底には、政治に金がかかり過ぎるという現状があると思いますが、実際に選挙活動にどのくらいかかっているかははっきりしません。また、選挙のたびに、明らかに売名目的とみられるような無責任な候補者が現れますが、この対策も考える必要があります。

昔から「猿は木から落ちても猿だが、代議士は落選したらただの人だ」(元自民党副総裁・大野伴睦の名言)と言われますが、当選するためには知名度が不可欠で、そのためには「悪名も無名よりまし」とばかり、故意に奇矯な振る舞いをする人もいます。こういう人に立候補させない手立ても必要でしょう(一つの対策として、各自治体の選挙管理委員会が事前に面接して篩にかけるとか)。

日本の政治家の報酬は世界第3位

他方、日本の政治家の報酬は世界でも最も高い部類に属すると言われ、ある調査によれば国会議員の平均報酬は約3,000万円で世界第3位(1位はシンガポール、2位はナイジェリア)。これを大幅に減額せよという声が強いものの、国会議員の報酬額については当然国会による法改正が必要で、実現は容易ではなさそうです。

ただ、仮に大幅減額するにしても、角を矯めて牛を殺す結果になってはいけません。とくに議員の政策立案能力を高めるための経費は必要で、例えば、米国議会のように議員立法を助けるための専門スタッフ集団を設けることが理想的でしょう。