いずれにせよ、「REspect!」には、「信頼できる届け出機関」として、Facebook、X、Instagram、TikTok、YouTube、Telegramなどを検閲する権限が公式に与えられたわけだ。しかし、緑の党の家庭省の資金で動いている組織が、本当に中立な判断を下せるのかどうか?
しかも、実際の流れは極めて複雑だ。「REspect!」はユーザーから通報のあったコンテンツのうち、違法と思われたものを連邦刑事庁に報告。その後、同庁が各種専門家と共に違法性の有無を確認し、疑いありとなれば、「REspect!」がSNS側にそれを戻し、適切な処理を行うよう促す。
ただ、ユーザーからの通報は何万、何十万に及ぶ可能性もあるだろうから、これらが全て正確に処理されることはおそらく困難だ。そこで、特定のコンテンツに狙いが定められていくのではないかという疑いも、当然湧いてくる。
フェーザー内相とパウス氏が進める「民主主義促進法」の影響ドイツ政府の左傾は今に始まったことではないが、それが次第に政治の機構として固まりつつある。彼らの特徴は、自分たちと異なる意見を「極右」、「ナチ」、「差別主義」、「独裁主義」などと決めつけ、社会にとって害があるものとして排除しようとすること。
そして、現在、これを力強く進めているのがパウス氏であり、氏がスクラムを組んでいるナンシー・フェーザー内相(社民党)だ。内務省は警察や憲法擁護庁(国内向けの諜報機関)を配下に持つため、フェーザー氏の影響力はパウス氏よりもずっと大きい。
フェーザー氏はかつて、「極右が特別な脅威であると、どのように定義するのか?」という記者の質問に対し、「民主主義の基本秩序に明らかに反するのは極右だけで、その他の過激派の形態ではそれが見られない」という驚くべき持論を披露した。
要するに、駆逐すべきは右派で、極左はOKと信じている人物が、今、ドイツの言論の自由を“守って”いるのである。