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Trusted Flaggersとは何か?

EUでは、「安全で予測可能で信頼できるオンライン環境」を確保するために、加盟国各国がTrusted Flaggersを導入しなければならないと定めた法律が、すでに2024年2月17日より施行されている。

Trusted Flaggersとは何か? 直訳すると「信頼できる旗振り役」。しかし、この場合のflaggerは、「間違い検出器」という意味で用いられており、SNS(Facebookや、Xや、YouTubeなどのソーシャルネットワークサービス)やビデオプラットフォーム上で、「ヘイト(誹謗)」、「フェイク(嘘)」など違法な発信を探し出す機関のことを指す。

従って、Trusted Flaggerに認定されるためには、まずは違法なコンテンツを検出する専門知識を持っていること、SNSプラットフォームの運営会社から独立していること、そして、その任務を正確に、中立的に行えることが絶対条件とされる。

ドイツのSNS規制法とその影響の拡大

ただ、ややこしいことに、ドイツにはすでに2018年の1月より、SNS規制法(正式名称は Netzwerkdurchsetzungsgesezt)という、社民党がメルケル政権の下、自由を守るためという触れ込みで多くの反対を押し切って作った法律が存在する。それを力強く支持していたのが、当時、野党だった緑の党だ。

SNS規制法というのは、「200万人以上のドイツのIPアドレスの利用者を持つプラットフォームを運営する各社は、苦情に対応する部署をドイツ国内に作り、不適当な投稿が通報されれば、24時間以内に違法か否かを検討し、違法なものはただちに削除(違法か合法かの判断が難しい場合は7日以内)しなければならない」というもの。

すでにシェアされてしまった分も追跡削除が必要で、また、削除した書き込みは証拠として10週間保存しなければならない。しかも、それを守らなかった場合の罰金が、なんと最高5000万ユーロ(現行レートでは約80億円)と途方もない額である。