誤解のところで書いたように、内部留保があるから現金を蓄えられる、という関係があるが、内部留保という元手は、現預金によるリスク対策以外の活用も可能なのにその元手を減らすことで解決しようとするのは、逆ではないか。
個々の問題点を解決することで結果的に内部留保が減るかもしれないというのが正常な流れである。内部留保を減らす圧力は、現預金を確保したい経営者にとっては、現預金を減らすのではなく投資意欲をなくすことになるかもしれない。
リスク対策ではなく、とにかく株主の利益をもっと増やしたい、つまり配当をもっとすべきと主張される方の意見なら、内部留保が問題だということに違和感はない。しかしこのときでも、配当すべきと言わずに内部留保の大きさを声高に言うのは、誤魔化しというか不信感でしかない。
人件費や法人税、内部留保課税については前回述べたので、今回再掲はしないが、内部留保が大きすぎることと現預金の関係を混同して考えることは、本来やるべき問題点の解決から遠ざかることにならないか。
敗戦を終戦と言い換え、暗殺を銃撃と言い換えるやり方に似ていると思うのは私だけであろうか・・・言いすぎかな。
マスコミは煽るだけなので無視するとしても、「もっと株主に還元すべきと主張する人」以外で、こういうことはとっくに理解していて経理に詳しいと思われる専門家や政治家が「あえて内部留保を悪者にする」理由は、本当にいったい何なのだろうか。
※ 先に書きましたように私はfacebookをやらないのでコメントに返信できませんが、いただいたコメントはしっかり読ませていただき参考にさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
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田中 奏歌 某企業にて、数年間の海外駐在や医薬関係業界団体副事務局長としての出向を含め、経理・総務関係を中心に勤務。出身企業退職後は関係会社のガバナンスアドバイザーを経て、現在は隠居生活。