加えて、セブン&アイ全体の今期決算の不振は、米セブンイレブン(7-Eleven, Inc.)の利益減が要因であることも報道されている。売上は増加したものの、利益(営業利益)は前期に比べ、第一四半期が「165億円」減、第2四半期が「230億円」減と、惨憺たる結果だった。

赤字事業の責任者に77億円の報酬を支払う一方(※)、赤字事業の従業員はリストラする。

(※ デピント氏の報酬は前期業績に基づくものであり当期は未反映)

「これは格差そのものだ」。イトーヨーカドー従業員たちは、心中穏やかではあるまい。もちろん、これは結果論であり感情論でもある。だが、「士気」は感情なのだ。

雑な事業売却。リストラ。待遇格差。セブン&アイ傘下で、ヨーカドー従業員たちの士気が向上する見込みは極めて低い。

よって、イトーヨーカドーは別会社のもとで再出発したほうが、成長が見込めそうだ。老舗スーパーだったユニーは、ドン・キホーテ(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)の買収後、わずか5年で1店舗あたりの営業利益を倍増させた。いまだファンの多いイトーヨーカドーならできるはずだ。

筆者撮影

株価対策だけでは足りない

最後に海外コンビニ事業(7-Eleven, Inc.)について。

先に述べた通り、状況は芳しくない。決算が振るわないのはフランチャイズ店舗が少ないからだ。

よって、フランチャイズ比率を上げ、海外コンビニを「日本化」することが課題となる。

海外コンビニの主力商品は酒とタバコとガソリン。顧客の多くは食料費補助支援(社会保障政策SNAP)の給付を受ける低所得者層だ。これらの顧客に対し日本の主力商品である「高付加価値食品」を売っていく。これが「海外コンビニの日本化」である。

これを、フランチャイズ化と並行して実現することは非常に難しい。今後のかじ取り次第では、セブン&アイ買収を仕掛けているアリマンタシォン・クシュタール社に足元をすくわれる可能性すらある。