2つ目の、カウンター商品拡大は、加盟店の「粗利改善」にならない。カウンター商品は「薄利」だからだ。あるコンビニオーナーの試算によると、100円の商品でも利益は2.5円程度(利益率2.5%)にしかならないという。本部が提示する利益率50%(うち半分=25%程度を本部に納める)と大きく異なる要因は、加工時間の扱いだ。

カウンター商品は、調理時間に加え、清掃・レジ打ちなど別作業から切り替えるための段取り替え時間が発生する。これら加工時間を加味すると、ほとんど利益は無くなってしまう。本部にとっては利益率25%の「高付加価値商品」でも、加盟店にとっては手間がかかるうえ利益がごく僅かの「低利益商品」なのだ。

3つ目の、配達サービス“7NOW”も「粗利改善」にならない。7NOWの人気10品目中、5つを占めるのが、アメリカンドッグなどのカウンター商品だ。上述した通り、カウンター商品は利益率が低い。低利益商品を、配達のためさらに増やせば、加盟店の利益率は低下する。

こうした負担増・利益減は、契約打ち切りを助長する。ただでさえ、高齢化で次回更新を躊躇する加盟店オーナーは少なくない。既存店は減少していくだろう。

では、新規出店はどうか。これも期待できない。まず、アルバイトが集まらない。カウンター商品を作りつつレジを打ち、レジを打ちつつ掃除する。やることが多すぎる。覚えることも多すぎる。これら情報が、SNSで拡散され、忙しいコンビニ店には、バイトがなかなか集まらない。当然、バイトよりキツいコンビニオーナーになろうという若者も出てこない。現オーナーは言う。

「若手の人は多分やらないと思いますし、自分も長くはやれないかなという危機感はあります」「今後10年後、15年後というのは正直コンビニを経営する人がいなくなるのではないかと」

経済産業省 新たなコンビニのあり方検討会|コンビニオーナーヒアリング

カウンター商品「お店で揚げたカレーパン」 セブン&アイプレスリリースより

イトーヨーカドーは完全に分離すべき