しかし、今回のトランプ再選に関して、アラブ系コミュニティが決定的な誤りを犯していると感じざるを得ません。

もちろん、彼らの責任ではない部分もありますが、非常に非合理的な判断を下してしまったのです。

残念ながら、日本のメディアもこの点についてあまり触れていないように思います。

ガザ情勢が非人道的であることは明らかで、罪のない子供や女性が虐殺されるなど、まさに「民族浄化=ジェノサイド」と言える悲劇が続いています。ネタニヤフ首相は、個人的な事情から戦争を止めにくい立場にあり、比較的に人道的な姿勢を示していたヨアヴ・ガラント国防相を先ほど解任しました。

ハマス幹部の殺害後も、人質救出を口実に独裁的な暴力が止むことはないでしょう。

そのような状況下、ディアボーンのアラブ系住民たちは、バイデン・ハリス政権への不満からトランプ支持に転じましたが、これはトランプ勝利の要因の1つとも言えます。

しかし、ここで冷静に考える必要があります。これまでのトランプ氏の言動や政策から、彼がイスラエル・パレスチナ問題でアラブ系の期待に沿う政策を打ち出す可能性は極めて低いでしょう。バイデン政権でさえパレスチナ寄りと見なされている中、トランプ氏はむしろ圧倒的にイスラエル寄りです。

具体的には以下の事例が挙げられます。

エルサレム首都認定と大使館移転:エルサレムをイスラエルの首都と認定し、米大使館を移転 ゴラン高原の主権認定:シリア領とされるゴラン高原をイスラエル領と公式に認定 アブラハム合意成立:UAEなどアラブ諸国とイスラエルの国交正常化を推進 (見方によって新イスラエルと言えない部分もある) パレスチナ支援の縮小:パレスチナ自治政府と国連機関への資金支援を大幅に削減 「中東平和計画」発表:イスラエルに有利な和平案を発表し、パレスチナ側から反発を受ける

上記のように、トランプ氏はイスラエルを全面的に支持してきました。