と述べているとおりである(【「裏金議員・納税拒否」、「岸田首相・開き直り」は、「検察の捜査処分の誤り」が根本原因!】)。検察の認定に従う限り、個々の「裏金議員」にとって所得税の納税をする選択肢はなかったのである。
(2)について個々の「裏金議員」についての裏金の使途等について説明責任が果たされなかったことも確かだ。自民党が、還付金等の保管状況・使途等について報告を求めるなどして個々の「裏金議員」について責任の程度を評価し、処分のレベルや衆院選での公認非公認を判断することは、党として行い得ることであり、岸田総裁時代からの自民党の対応が極めて不十分であっただけでなく、石破総裁になった後も基本的に変わらなかった。
その点は、「裏金議員」個人というより、自民党本部側に責任がある。しかし、それも根本的には、検察当局が、派閥からの還付金等が政治団体に帰属するもので、その収支報告書に記載すべきであった、として、収支報告書の訂正を行わせることで事件を決着させたからである。議員個人宛の寄附と認定され所得税の課税の対象とされていたら、この点について議員側は説明を免れなかったはずだ。
このような個別の「裏金議員」の説明の問題とは異なり、(3)の派閥レベルでの裏金問題の経緯・理由という問題の根本に関わる事実解明は、検察捜査によらなければ困難だった。
ところが、派閥の事務担当者が政治資金規正法違反で起訴されたが、その公判でも、検察が明らかにしたのは「かねて、ノルマを超えてパーティー券を販売した場合の『還付金』『留保金』に相当する金額を除いた金額を清和会の政治資金収支報告書に記載していた」と述べるだけで、「裏金問題」の経緯、意思決定のプロセス等の具体的な事実関係は何一つ明らかにされず、事務担当者から所属議員側に「収支報告書に記載不要」と説明していたことの具体的事実も明らかにされなかった。
要するに、国民の不満反発の原因となった、(1)の刑事処罰、(2)の納税の問題は、いずれも検察の捜査と刑事処分の判断の結果であり、しかも、(3)の事実解明も、検察にしか行い得ないことが大半であった。