政治資金規正法上は、「政治資金の収支の公開」が義務づけられているのに、派閥から「収支報告書に記載しない金」の供与を受けて、実際に記載もしていなかった国会議員の処罰がほとんど行われなかったことに対して国民には大きな不満が生じた。

それ以上に、国民の強烈な反発の原因になったのが、「課税に対する不公平感」だった。

国会議員が、政治資金パーティーの売上の中から自由に使っていい「裏金」を受け取り、それについて税金の支払も免れていることに対して、国民は激しく怒った。

国民は、事業者も、サラリーマンも、汗水流して働いたお金を報酬・給与として得る。それについては、法人の事業を行って得たお金であれば「法人税」等を、個人の収入として得たお金であれば「所得税」等を支払わなければいけない。その上で、残ったお金を自由に使うことができる。

この事件が注目を集め、検察の捜査、刑事処分が決着した時期は、個人事業主などは、払いたくもない税金を納めるために、確定申告に向けて気の滅入るような作業を強いられている時期だった。しかも、前年10月にはインボイス制度が導入され、「会計処理の透明化」の動きが中小企業や個人事業主にも及び、多くの国民が負担を強いられた。

それなのに、政治家の世界では、自由に使えて税金もかからない「裏金」という、「領収書不要の金のやり取り」が行われていたこと、大規模な政治資金パーティーで巨額の収入を得て、その一部を裏金で所属議員に分配し、彼らは税金も支払わず自由に使っている。そのことに対して国民は怒りを爆発させた。

それに加えて、この問題の事実解明がほとんど行われていないことも、自民党側への厳しい批判の理由とされた。

要するに、裏金問題に対する国民の不満が爆発したのは、

(1) 所属議員側は政治資金収支報告書不記載という違法行為を行っているのに、ほとんどの議員が処罰をされていない。 (2) 「領収書不要の裏金」を受け取っていたのに、使途が具体的に明らかにされず、所得税の納税をしていない。 (3) 派閥から所属議員に「裏金」として供与されていた経緯・理由等の事実解明が全く行われていない。

の3つが要因だったのである。