として、二階派を離脱した。
その時点で出した記事【指揮権に対応できない小泉法務大臣は速やかに辞任し、後任は民間閣僚任命を】で、法務大臣が、捜査の対象となっている派閥に所属していた自民党の政治家であった場合、公正で客観的な判断が求められる法務大臣の職責を果たすことはできないことを指摘し、リクルート事件の際の元内閣法制局長官・元最高裁判所判事の高辻正己氏、ゼネコン汚職事件の捜査の際の民事法学者の三ケ月章氏のように、十分な法律の素養がある民間人の法務大臣起用が適切だとの意見を述べた。
しかし、岸田首相は、法務大臣人事について問題意識を欠いたまま小泉氏を留任させ、その後、「政治資金パーティー裏金事件」について、法務大臣も法務省当局も、表だった対応は全く行わなかった。
小泉氏が、法務大臣としての検察への関わりをすべて拒絶するに近い姿勢をとっていたことは、その後、参議院法務委員会で、検察庁法14条の法務大臣の指揮権について質問され、
「検事総長が法務大臣をなだめるための規定」
「検事総長が、冷静になってくださいと、介入しないでくださいという政治家を止めるための規定」
などという“珍説”を述べたことにも表れている。
小泉大臣は、大川原化工機の事件で人質司法のため被告人の胃癌が悪化して死亡した後に公訴取消しになったこと、河井元法務大臣の買収事件では、東京地検特捜部の検事が不起訴を示唆して供述を誘導したことなどについても、「個別事案に対する指揮権と境を接する問題」だと述べて、法務大臣として調査を指示したり、是正のための措置をとることをしなかった。
法務大臣として対応することを全て否定したのは、一貫して検察問題への法務大臣としての関与を拒絶してきたことの表れである。
世の中の様々な事象に関して発生する刑事事件の中には、外交上の判断が必要になる事件、検察官個人の犯罪にとどまらず、検察の組織自体の不祥事に発展した事件など、検察による「法と証拠に基づく判断」だけでは適切な対応が期待できないものもある。