だからセンモンカ氏にとっては、「やるべき仕事は変わらない」。いかにロシアが勝とうが、正しいのはウクライナである以上、ウクライナ国民が総員玉砕するまでガンバレコールを安全な日本から送り続ければよく、停戦に取り組む必要はない。

なので、同氏の眼に映っている現在のウクライナとは、以下のような国だ。

自ら前線に向かい、国土防衛のために闘う人。 ウクライナ国内で経済を回し、防衛を支えようとする人。 生き残りと発信のためにウクライナ国外に出て、活動する人。

その選択には優劣などなく、すべて強く美しいと、私は思います。

同上

もちろんそれらは「すべて強く美しい」。そこには、強制的に拉致されて前線に送られる息子も、それを止めようとする母親も、居ないからである。あるいは日本でも広く報じられた、夫の早期除隊を求めてキーウでデモに立つ妻たちも、居ないからである(ヘッダー写真はNHKより)。

つまり、こうしたセンモンカが解説するウクライナ戦争は、「ほんとうの戦争」とは別に関係がない。本人にも、また視聴者やフォロワーにも区別不能になった「戦争の幻想」と戯れ、「堕落したシミュレーション」の中でごっこ遊びをしているだけだから、ちょこっとミスプレイをしたくらいでは、訂正も反省もする気はない。

戦時に誤りを発信した専門家に「軍法会議」はないのか|Yonaha Jun
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だいぶ前から友人とのLINEでは、そうした態度の日本人が遊ぶ場所を「ウクラ・イーナ」と呼んできた。ウクライナを応援する私ってかっこイーナ、それにいいねをくれるフォロワーもとってもイーナ、の意味である。当然ながら、過酷な戦火の下にある現実のウクライナとは、別の空間だ。