2023年2月、ロシアへの反転攻勢が期待されていた時期に、在日ウクライナ人(その後、日本に帰化)のナザレンコ・アンドリー氏が「停戦を口にする者は全員親露派扱いでいい」(原文ママ)とツイートした。これに今年の10月、匿名アカウントの「普通っす」氏が、いまやウクライナでは母親が止める前で子供を拉致する形で、徴兵が行われている旨をリプライした。

篠田氏の発言は、「普通っす」氏への応答なのだから、含意は明白だ。「負け組」とは、ウクライナの中でも最も悲惨な境遇に追い込まれた人たちを指すもので、彼らに共感するなら、早期の停戦の可能性を真剣に議論すべきだ、との趣旨である。

ところがこれに対し、別の国際政治学のセンモンカは横から入ってきて、こうコメントする。

ロシアによる侵略を非難し続ける行為を「ウクライナ応援団」と揶揄されることは、これまでにも増して多くなってきています。 これからは「負け組応援団」とでも評されるのかもしれません。

でもだからといって、今起こっている侵略をやめさせ、今後の侵略を押しとどめる必要性がいささかでも減るとは思えません。 私たち国際政治学者の行う発信の意義が減じられたとも思いません。

だからいいじゃないですか、「負け組応援団」で。 やるべき仕事は変わらないのですから。

東野篤子氏note、本年10月28日

すぐにわかるとおり、ここでは「負け組」の意味が、ウクライナの政府と軍がロシアに敗北することへと、すり替わっている。