ただ、国民民主党もこれで安泰というわけにはいかない。後述する維新が歩んだ道だが、躍進とともに、粗製乱造した候補者のほころび(スキャンダル)が目立つようになり、やがて、国民の期待が失望に変わるという形になってしまうとどうしようもない。

そうした報道も出始めていたり、少し前に公認した候補を取り消したり、悪い予兆は出ている。大阪で絶対的な強さを誇る維新とは異なり、国民民主党はより比例が頼りなので(絶対的地盤はないので)、そうなると脆弱性も大きい。

さらに注目すべきは、今回は、⑤のとおり、維新が伸びなかったこと(むしろ議席を減らしたこと)が大きな特徴の一つだ。大阪から関西圏全体に勢いを広げ、東京でも橋頭堡を築くなどしていた少し前の成長期から考えると、今回は意外な結果である。

1〜2年前は、立憲民主党こそが凋落の象徴であり、むしろ野党第一党の座を維新が取るのではないかということがまことしやかに言われており、馬場代表以下、維新の幹部もそのことを公言していたが、国民民主党の躍進により、むしろ野党2番手の座が危うくなっている。

玉木氏のような、ネット活用による地道な訴えがなく、「身を切る改革」や「保守としての立ち位置」をフワーっと拡散するだけにとどまったため、端的に言って、国民的に「飽き」が来たというのが率直な実感だ。兵庫県知事の問題、万博を巡る各種トラブルなどをはじめ、スキャンダル系に見舞われたことも「飽き」を増大させた。

ただ、同時に、大阪では小選挙区の全てで勝利するなど、地域政党としては圧倒的な強さを見せたことも見逃せない。様々な人間関係のしがらみで、今すぐ組むことは難しいようだが、本来は、例えば東京の地域政党とも言うべき都民ファーストの会など、各地の地域政党と組んだり、そうした動きに関与したりしつつ、各地の地域政党の連合体としての「日本維新の会」を目指すべきだ。自前での拡大に拘らないスケールの大きな戦略転換と実施が望まれる。