今回は、野党で選挙区調整などをして共闘する暇がなく、当初は結果が危ぶまれていたが、立憲民主党については、想いの外、地力がついていたということが言える。
多くの候補者が旧来的な「組合頼み」といった自民党とは別の形の組織頼みに終わることなく、理性の選挙をしていたことが大きい。立憲民主党は、一時は、野党第一党の座を維新に奪われるのではないかという危惧すらあったが、後述するように維新とは明暗を分けた。
そして、③の公明党・共産党の凋落であるが、これらの政党は、自民党と同様に支える組織・団体の組織力低下や高齢化などが進み、明らかに構造的に足腰が弱っている。とはいえこれまで強固に作り上げたネットワーク力は凄いものがあり、今すぐに消滅するというレベルではないが、このままだと着実にボディブローのように組織の弱体化が進み、獲得票数を減らして行くであろう。
また、議席4倍増という④の国民民主党の躍進であるが、これは個人的にはネット戦術の効果が大きいと考えている。筆者のかつての職場(内閣官房)や留学先(ケネディスクール)の上司筋だったり先輩だったりするので、党首の玉木雄一郎氏とはかねてより交流があるが、かなり初期からインターネットの活用に邁進していた印象だ。
国民民主党は、極端な保守でも極端な左派でもない中での埋没懸念から、割とずっと危機感が強く、ネットの積極活用や若者層への訴求に活路を見出していたのが印象深い。具体的には、若年層に丁寧に働きかけるべく、リール動画やYouTubeやX(twitter)を積極活用してきている。
これは一朝一夕にできる話ではなく、主に玉木氏個人による10年近い積み重ねの効果だ。少し前の前原氏の離脱と維新入りが記憶に新しいが、多くの有力議員が国民民主党の将来に見切りをつけて、首長選などに向かう中(岸本氏の和歌山県知事選など)、歯を食いしばって、「顧客」の新規開拓に向けて努力を重ねた玉木氏の手法を、自民党議員などはもっと見習うべきであろう。