今回の選挙結果を少し解像度を上げてみてみると、大きく6つの要素に分類できる。
① 自民党の大敗(自民党的集票システムの劣化) ② 立憲民主党の議席大幅増(批判野党が相変わらず政権批判の受け皿) ③ 公明党・共産党の凋落(既存の組織政党の弱体化) ④ 国民民主党の躍進(若年層への訴えの効果/ネットの活用) ⑤ 日本維新の会の停滞・後退(国民的「飽き」の顕在化と地域政党の可能性) ⑥ れいわ新鮮組・日本保守党・参政党の伸び(党首の顔の見えるベンチャー政党の成長)
それぞれについて、多少詳しく述べると、まず、①の自民党の大敗だが、これは、いわゆる裏金問題への国民の怒りの爆発が影響したことは間違いない。ただ、個人的には裏金問題だけのせいではなく、自民党のお家芸とも言うべき業界関連の組織や団体頼みの選挙の限界が来つつあるという構造的敗北の印象も受けている。
また、直前にあった自民党総裁選では高市早苗氏の予想外の健闘が話題になったが、明らかに自民党員は高齢化した保守層に偏っていて、若い層にうまくアプローチ出来ていない。総裁選での小泉進次郎氏の敗北や小林鷹之氏の党員票の伸び悩みの背後にそうした事情がある。
地域の各種団体などが票を取りまとめて自民党を応援するという仕組みが崩れつつある中、また高齢男子保守層が遠からず壊滅的にいなくなっていく中、一度別所で詳述したことがあるが、相当な改革を進めないとジリ貧であろう。
自民党は、今回の敗北を機に、党を挙げて近代政党化をはかり、力のある若手個人を中心に選挙戦を戦い抜けるシステムを整えなければ、徐々に地力を失って、弱体化していく運命となる。
次に②立憲民主党の大幅議席増だが、表面的には、自民党の裏金問題の批判票の受け皿となって約50議席増加という大躍進を遂げたということになるが、その実、組織や団体に乗っかるという自民党的旧来戦術とは違う、個人としての訴えや戦いを主に展開するという、理性に基づいて個として活動する地道な努力を重ねた候補者が多かったことが大きいと思う。