国際法廷で争われて確定的な結論が出た前例がなく、国際法学者の間でも意見が分かれる。大勢としては、合法性は不明、である。

(篠田英朗「単独的な標的制裁の制度論的検討:国際立憲主義の観点から見た合法性と正当性」、『国際法外交雑誌』121巻4号、2022年、416-445頁。岩月直樹「第三国による対抗措置」『法学セミナー』63(10)、2018年10月号、49-55頁などを参照。)

広範に実施されている「一方的制裁」そのものが、実は合法性は曖昧であるくらいなのである。今回の凍結資産を強制執行のように使用する、という措置は、さらいいっそう合法性が曖昧な領域に突入する問題である。

私見では、最終的には、ロシアの侵略行為の違法性を主張して、ウクライナの自衛権行使の正当性を主張したうえで、今回の凍結資産活用措置が、国連憲章第51条の「集団的自衛権」の行使に該当する措置である、という主張をもって、最終的な合法性の担保にするしかないようにも思われる。G7諸国は、集団的自衛権を行使している戦争当事者である、という点を明確にする、ということである。だがG7諸国は、政治的な事情で、この立場をとることも拒絶している。

この問題は、長期的に争われる問題になっていくだろう。Xにおける「コミュニティ・ノート」やその他集団リプなどを根拠にして、国際秩序を維持していくことは、不可能である。

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