特に人材が不足しがちな地方の町村や小都市では、それまでの数十年間の職業経験を活かして「地方創生委員会」に「得意」をもった高齢者の参加が期待される。
その意味では「地方創生委員会」のテーマは、図8にまとめられた「農業・漁業」、「産業・商業活動」、「まちづくり・観光」、「環境・エネルギー」、「学校・教育・情報」に限定した試みを当初の3年では優先してはどうだろうか。
「所信表明演説」での「産官学金労言」とは異なるが、竹本が収集した地方創生事例を点検すると、4者の「主体」の立場に応じて、この5つのテーマがふさわしいと考えられる。なぜなら、これら「農業・漁業」、「産業・商業活動」、「まちづくり・観光」、「環境・エネルギー」、「学校・教育・情報」では、地元にも長年職業としてきた高齢者層が堆積しているからである。
そこから適切なキャリアの高齢者を選び、「地方創生委員」として参加してもらえれば、「まち、ひと、しごと」のうちの「ひと」不足の解消になるはずである。しかも、参加した高齢者委員はその過程で「生きがい」を感じることができる。
「得意」により自分を活かすそこへのOB・OGの参加者は、「得意」によって「自分を活かす」ことが出来て、それが同時に本人の「生きるよろこび」になり、同時に「地域創生」事業への貢献にもなりえる。
これは高齢化理論の主流である「社会的離脱理論とは裏腹に、年をとるほど社会的活動の重要性が増す」(フリーダン、1993=1995:84)ので、就業の有無に関わらずに、高齢者個人のライフスタイルの多様性も広げることにも直結する。
生きがいを得るための10ヶ条私のいくつかの研究でも、以下のような分類を試みている。ボランティア活動を含む役割活動から、生きがいを得るための条件を10ヶ条に整理したことがある(金子、1997:46)。