例えば、

・AI活用の不正検知

人工知能と機械学習技術を活用することで、従来のシステムでは検出が困難だった複雑な不正パターンを識別することが可能になる。これにより、不正のトライアングルの「機会」要素を大幅に縮小できる可能性がある。

・ブロックチェーンによる透明性

ブロックチェーン技術の導入により、取引の透明性と追跡可能性が向上する。これは「情報流通不全」の問題に対する強力な解決策となり、不正行為の隠蔽をより困難にする。

Ⅲ:階層型組織のまま階層型組織の弱点を克服する 階層型組織2.0に求められるリーダーの素養

資本主義の限界が指摘される中、その基盤を支えてきた階層型組織もまた、現代の環境変化に直面している。階層型組織は、効率的な意思決定と管理を可能にすることで、資本主義の成長を支えてきた。

しかし、グローバル化やデジタル化が進む現代では、この組織構造も変革を求められている。環境の急速な変化に対応し、柔軟で迅速な意思決定を行うためには、階層型組織のバージョンアップが不可欠であり、新たな組織形態への進化が求められている。

A:メタ認知⇒環境認識を常にアップデートしながら自社・自身を客観視する姿勢

まず弱点克服に向けての絶対必要条件は、トップの「メタ認知力」である。「メタ認知」 とは自身を客観視する能力を指すが、トップがこれを欠くと階層型組織の弱点を克服することはほぼ困難となる。

メタ認知は正しくとりまく環境(変化を)認識するところからはじまる。大きな枠組みで言うなら経営リソースの希少性。ここ10年ほどで、経営における希少資源が「カネ」から「ヒト」へと完全にシフトし、この変化は人的資本経営の名のもとに大きなトレンド化している。

かつては、資金調達(カネ)や設備投資(モノ)が企業の成長を左右する主要な要因だったが、少子化など労働力減少、デジタル化やグローバル競争の激化、働き方の多様化により、今や優れた人材の確保と育成が企業の競争力の源泉となった。