どうやら階層間で発生する情報流通の「遮断」「歪曲」「蒸発」が発生すること、これらにより精度の高い意思決定ができなくなることが弱点と見て取れ「不正のトライアングル」発生に寄与してしまっている。
ちなみに、この弱点の解消を構造的に乗り越えようとして着想された組織がティールやホラクラシー、DAOといったフラット型、自律分散型組織である。階層型組織の弱点を論じる時に組織構造を変えればいい、という主張も多く存在することを認識しているが本コラムではそのスタンスは取らない。あくまで、
階層型組織の弱点を階層型組織のままで克服する
ことにこだわりたい。
理由はそもそもこれらのフラット型組織の特徴を紹介するだけで1本のコラムが成立することと、まだ実証的にその有用性を証明する企業の件数が少ないこと、また論理的に考えて市場への価値提供を継続的に発揮する組織形態としてのデメリットが散見される点である。
この点については多くの読者や世の経営者管理者と広くディスカッションしていきたいテーマである。
参考著書①:「サイロ・エフェクト」ジリアン・テット(ファイナンシャル・タイムズ紙の副編集長)情報流通不全を引き起こす構造的要因に「サイロ・エフェクト」があげられる。「サイロエフェクト」は、企業が成長を続けて、規模が大きくなっていくとほぼ確実に起きる現象で、顧客のための全体最適よりも、部署ごとの売上高や利益などの数字を守ることが重視されるようになる。
こうなると、部分最適化が各所で進行してしまう。
組織や企業内で部門やチームが互いに情報やリソースを共有せず、孤立した状態になることが発生し、パフォーマンス阻害要因となる。まさに、不祥事に見る原因の一旦と考えられる言及が数多く見られる文献である。
サイロ現象は、組織の文化や構造によって引き起こされる。テットは、人々が自分の専門分野や部門に固執し、他の部門との協力を避ける傾向があることを指摘している。これは、組織の成長や複雑化によってさらに顕著となる。