サイドバックやウイングバックが自陣タッチライン際でボールを受けた場合、この時点で左右どちらかのパスコースが消えるため、パスを出せる角度が180度方向に限られる。スペイン戦の前半は古賀塔子と清水梨紗の両DF(両サイドバック)、後半に右ウイングバックを務めた清水がこの位置でボールを受けたため、なでしこジャパンのパスワークが手詰まりになっていた。
パリ五輪で浮き彫りになった攻撃配置の悪さを、今回の韓国戦でも解決しきれなかったなでしこジャパン。4バックを基軸にビルドアップするのであれば、両サイドバックがタッチライン際から内側へ立ち位置を移し、中央とサイドどちらへもパスを出せる状況を作る。もしくは味方センターバックとサイドバック間へボランチの選手を降ろし、ビルドアップに関わらせる場面を増やす。FIFA女子ワールドカップ2027、そして2028年に開催予定のロサンゼルス五輪でメダルを獲得するためには、これらを突き詰める必要があるだろう。
効果的だった山下と北川らのプレー
効果的な攻撃パターンを探るのに時間を要したが、前半の途中からDF北川ひかる(左サイドバック)がタッチライン際から内側へ立ち位置を移し、ビルドアップに関与。ここでボールを受けた北川が内側にも外側にもパスを出せる状況となり、なでしこジャパンの左サイドからの攻撃の威力が増した。
GK山下から繰り出される相手最終ライン背後へのロングボール、及びセンターバック熊谷から左サイドバック北川へのロングパスも韓国にとって脅威に。長谷川唯と長野風花の両MFも、[4-4-2]の守備隊形を敷いた韓国2トップの斜め後ろに立ち、味方センターバックからのパスを引き出そうとしていた。
「良いチャレンジができた」
センターバックの南も試合後に筆者の取材に対応。筆者と同じく、GK山下やセンターバックからのロングパスに手応えを感じていたようだ。