購買力平価換算値は「空間的な実質値」とも呼ばれます。
早速、購買力平価換算値での推移や国際比較についても眺めてみましょう。
図4が主要国の1人あたりGDPについて購買力平価換算値の推移です。
為替レート換算値と比べると、滑らかな右肩上がりのグラフとなるのが特徴的です。
日本も自国通貨ベースや、為替レート換算値では横ばい傾向が続いてきましたが、購買力平価換算値だと右肩上がりです。
為替レート換算値だと高かった1990年代の水準が他国並みに均されています。
近年の上昇具合は他国と比べて緩やかで、他の主要先進国との差は開いています。
韓国には2018年に抜かれています。
アメリカ以外の他の主要先進国の水準も、為替レート換算値よりも割増しで評価され、アメリカとの差が縮小しているのも特徴的ですね。
また、ロシア、中国などの国々の水準も為替レート換算値と比べると大幅に高い水準となっています。 金額的にはかなり低いですが、数量的な経済水準としては相応の水準に高まっている事になります。
5. 1人あたりGDPの国際比較:購買力平価換算値続いて、1人あたりGDPの購買力平価換算値について、上位国の国際比較をしてみましょう。
まずは1997年の国際比較です。
図5が1997年の1人あたりGDP(購買力平価換算値)の国際比較です。
上位国に中東諸国が並ぶのが印象的ですね。
ノルウェー、シンガポール、スイスなどが上位です。
為替レート換算値だと4位だった日本は、購買力平価換算値だと19位でそれほど高い順位ではなかったようです。
金額的(為替レート換算値)だとかなり高い水準でしたが、数量的(購買力平価換算値)だとそこまでではなかったという事になります。