アメリカが、結構な裕福層でもちょっとした病気で破産する事があるような制度になっていることは有名ですが、一方で「欧州は医療が無料だっていうじゃないか」といいますが、その場合はなかなか予約が取れず、重要な手術でも数ヶ月とか半年待たされる例も多いです。

「医療制度のトリレンマ」という言葉があって、「安価さ」「アクセスの容易さ」「質の高さ」のうち、全部を同時に満たすことは不可能であり、どれかを諦めなくてはいけないという状況について説明しています。

日本は、「無料ではないにしろ世界的に見てかなりの安価さ」「相当な田舎でも高度医療を受けられる上、”コンビニ受診”的に気になったらすぐ見てもらえるアクセスの容易さ」「世界最高とは言わないもののかなりの質の高さ」をすべて実現しようとして、天井知らずの医療費を税金で補填し続けている状態にある。

その為に一部のお医者さんは他国ではありえないレベルの過重労働を強いられていますし(それが理由で私立医大の女子配点問題なども発生した)、あまりに厚労省が薬価を無理やり引き下げようとするので、治療に必要な普通の薬の供給システムが崩壊しかかり、手に入らない薬剤が出てくるという笑えない事態にもなっているし、元々ある程度高い技術を持っていた日本の医療技術関連の会社が、最先端技術競争から脱落しつつある原因にもなってしまっている。

そうやってかなりの「無理」を重ねに重ねている現状にも関わらず、それでも医療費の『爆増』っぷりは本当にすごくて、ついこないだまでは「たしか40兆円ぐらいだったかな?」と記憶していたのが、ふと調べるたびに兆円単位で増え続け、2021年には45兆円の大台に乗ったかと思えば2023年には47兆3000億円にもなっています(ちなみに日本の”国家予算総額”が年間”たった112兆円”でしかない事を考えると、いかにものすごい額なのかがわかると思います)。

さらに恐ろしいことは、この数字はもちろん少子高齢化でも増えていきますが、これから一件5000万円とか一億円とかする最新高度医療が続々と普及することでもさらに急激な増加が見込まれているのです。