例えば僕個人は就職活動にそんな苦労しなかったし、その後もまあまあ好き勝手生きてきている面はあり、世代の人数がなんせ多いのでそういう人も一定数います。

以下の図は2023年段階の人口ピラミッドですが、アラフィフの一番多い世代の人数は今の20代の倍ぐらいいるので、「たとえ世代の半分だけしかマトモに就職できてないとしても、今のZ世代の若者と同数ぐらいの人数はいる」という状況なのだとご理解いただければと思います(逆にいうと、膨大な数の”語られない非常に大きな苦労を背負っている人々”が不可視化されているとも言える)。

で、氷河期世代以外の人たちから見ると、

「氷河期世代の”勝ち組”はゾッとするほど自己責任論で負け組に厳しい」

…っていうのが「定説」みたいに語られているんですが、僕はそれは「ちょっと違う」と思ってるんですよね。

まあ自分が「勝ち組」とかいうのもアレですが、少なくとも異例に困窮する立場にはなかった身として、同じ世代の「まあまあ活躍している同年代」の人たちを見ていると、

「自己責任論者で負け組に厳しい」というより、むしろちゃんと貧困問題に問題意識を持っている人の方が多いと感じています(少なくとも自分の身の回りは)。

ただそうじゃなくて、「実効性のない綺麗事をいうヤツへの嫌悪感」みたいなのはすごいあるんですよね。

3. 「フリーランチは存在しない」という信念

経済学に「フリーランチ」っていう言葉があって、要するに「無料の昼食」なんてものはないんだ、という風に使われるんですが、これは無理やり何かを優遇すると、どこかにその「ツケ」が回される形になるのだ、という概念ですよね。

氷河期世代の「勝ち組」層は、「自己責任論者で弱者に厳しい」というよりも、この「フリーランチなどない」という部分をものすごく「身を持って痛感」している面があって、そういう部分への配慮がない綺麗事に対してかなりの嫌悪感を持ってるところがあるなと思います。