つまり、このスーパーコアインフレ率が4%台に定着すると、個人世帯消費の8割近くを占めるサービス価格の上昇率もそれにサヤ寄せして徐々に上がって行く可能性が高いということです。

さらに下段を見ると食品価格指数が2020年からの4年間で25%も上がっています。年率に換算すると6%弱です。食品価格指数とは加工食品と飼料の生産者物価を指数化したものでして、エンゲル係数の高い低所得層にはとくに過酷な値上がりを招くことが予想されます。

これから2028年までを展望すると、以下のようになります。

トランプは自分が大統領になればイスラエル軍によるイラン核施設の爆撃を全面支援すると言っている。バンカメを筆頭にアメリカの大手都市銀行が何行か潰れそうだが、Fedにはあまり有効な対抗策がない。インフレ率は加速するだけではなく、とくに低所得層にきつい食料品価格が急上昇する気配が濃厚だ。

民主党首脳陣が「これから4年間の政権をトランプに任せて全責任を負わせてやろう」と考えたとしても不思議ではありません。問題は、2028年に次の大統領選が無事実施されるのか、いやそれ以上にアメリカという国が今のままのかたちで存続しているのかということです。

 

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編集部より:この記事は増田悦佐氏のブログ「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」2024年10月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」をご覧ください。