ルアーマン達はあらゆる手を尽くして挑むが、回遊状況が悪ければ青物のいない海に向かって、誰が何をしようと青物は釣れない。皆口数が少なくなり、表情の険しさは増すばかり。波止上は暗い雰囲気が漂っていた。
38cmのツバスを手中
キャスティングを繰り返しても釣れないので、片側のルアーマンが休憩に入った。この間は私のノマセ釣りが心持ち左右の幅を広げて活きアジを泳がせることができる。
ノマセ釣りは青物さえ回ってくれば、ルアーよりも釣れる可能性が高いという思いは、このタイミングで7:20頃に現実のものとなった。
ウキがスパッと海中に沈み、しばらくして魚が走り始め、スピニングリールのスプールから道糸がパラパラと出て行った。ドラグを調整し、巻き上げるタイミングを見計らう。
私の動作に気付いたもう片側のルアーマンが「来た?」と声をかけてきたので、私は「来ました。少し迷惑をかけますがすみません」と返して、巻き上げにかかるとヒット。
竿に魚の反応が伝わって来るが、引きが弱く、ドラグが滑る締め込みもない。半信半疑で慎重に魚を手前に寄せてくると、小さいツバスが姿を見せた。
周りのルアーマン達の注目を浴び、隣のルアーマンが一旦釣りを止めてくれているという申し訳なさがプレッシャーとなったが、魚体が小さかったこともあり、無事タモ入れに成功。「おおー」「良かった」という労いの言葉を貰って喜びはひとしお。
検寸すると38cm、ハマチには至らずツバスではあったが、貴重な1匹はノマセ釣りのセオリー通りの狙って釣った誇れる1匹となり、ノマセ釣りの醍醐味を堪能できた。
ノマセ釣りで仕留めたツバス(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)
2回目のアタリもあったがヒットに至らず
私の1匹が呼び水となり、周りのルアーマン達は活気を取り戻し、一斉にキャスティングを繰り返す。私も戦線復帰して追釣を狙う。しかし、激渋の状況は根本的には好転しない。