ホームステイを終えて
日本に帰る日が近づくと、私は何ともいえない寂しい気持ちになっていました。ホダもホダの家族もみんな私を本当の家族のように接してくれていたので、別れのその時は思っていた以上に辛かったです。
「今度は日本に来て私の家に泊まってね」と言っても、彼らはビザの関係で日本に、簡単には来れないのです。
今回、ホームステイをして感じたことは、言葉が通じなくても所詮同じ人間だし、悲しければ泣くし、腹が立てば怒るし、結局はみんな同じなんだなということ...国や言葉が違っていても、そんなに大して違わないんだと改めて感じたのです。
ただ、日本人と大きく違うなと思ったのは、エジプト人って人生を楽しんでいる人が多いなぁと(感じた)いうことです。
当時のエジプトは「1日の1人当たりの食費が2ドル」という人が国民の40%も占めていたそうで、私がお世話になった家もこの中に含まれていたかと思われるのですが、それでもみんな毎日笑って幸せそうに暮らしているんです。
最後の日、カイロ空港に向かう時のタクシーの運転手さんが「うちの息子がケンタッキー、ケンタッキーって泣くんだよ。そりゃぁ食べさせてやりたいけど、あのフライドチキンを1個買うのと家族4人分の食事代と同じなんだよなぁ。俺だって食べたいよ、ケンタッキー。ワッハッハ」と笑って話していたのが今でも耳に残っています。
そして、とうとう帰国をし、日本の空港の帰国審査場で、審査官が無表情でスタンプを押していたのを見て私は「あぁ、日本に帰ってきたんだなぁ」としみじみ感じさせられたのでした。
あたりを見まわすと、みんな無表情なんです。それはごくごく普通のことなんですが、エジプトから帰国した私には、どうしてもそういうふうに見えたのです。もちろん私自身も無表情ではあるのですが。
そんな表情豊かなエジプト人ですが、彼らは普段から、困っている人を見ると放っておけないという人が多いような気がしました。ただそれは「親切」というよりも、私の目から見るとなんとなく「おせっかい」に近い気がしましたが(笑)
エジプト人っておせっかいだけれども、人間らしくて、フレンドリーで、底抜けに明るくて「憎めない奴ら」なんです。私はそんな彼らが大好きになって帰国したのでした。
エジプトの地を訪れる方は、ぜひエジプト人と沢山交流してみてほしいです。その数だけ、きっと楽しい思い出が増えると思います。
最後に一言。
「エジプトはピラミッドとツタンカーメンだけの国じゃないですよ~!! 」
文・写真・藤本 敦子/提供元・たびこふれ
【関連記事】
・避暑地アッター湖で、クリムトセンターと「クリムトの庭園」を訪ねる
・ベルリン郊外に残るベルリンの壁跡地でハイキングやサイクリングを楽しむ
・高速列車「あずま」で東海岸を行く、ロンドンーエディンバラ間鉄道の旅
・【北海道】異国情緒溢れる街・小樽に行ったら、たくさんの笑顔に溢れていた。
・ハワイ・ハレイワタウンでランチをするなら?食べたい内容別のおすすめ5店を紹介