素質を研ぎ澄まし「確信」のあるリーダーシップへと

そこからの堂島さんは、管理職として「変貌」しました。まさしく「変貌」という言葉が、大袈裟ではなくピッタリだったのです。

堂島さんは、それから約1年で、会社の実質的No.2となりました。

「相手に意識を向け続ける」という向き合い方を実践しながら、「後ろから皆を支えるリーダーシップ」を益々研ぎ澄まされていきました。さらに、堂島さんは社員の皆さんにだけではなく、社長に対しても行うようになりました。

そして、自然に湧いてくる質問、自然に湧いてくるメッセージを、そのままダイレクトに伝えることで、まずは、社長の言われることの本質を理解できるようになり、社長の一番の理解者となりました。そして、社員の皆さんには、1on1だけでなくミーティングの場でも意識を向け続け、言葉は少ないのですが、皆さんの琴線に触れる一言一言を発するようになりました。

実はその一言は、社員さん曰く「とても厳しい言葉が多いです」とのことです。それでも「実は、何となく自分自身がわかっていたことを言われるので、納得するんです」とのことで確かに響いているようです。

いつの間にか「我社で最も社員に厳しいのは堂島。でも、社員から最も信頼されているのが堂島」であると、社長どころか他の役員からも言われるようになりました。堂島さんご自身も「一年前の自分が嘘のようです」とおっしゃっていました。

面白いのが、私が堂島さんに「いかがですか?管理職として、少しは自信はつきましたか?」と問うと、こう返ってきたことです。

「今でもまったく自信はありません。でもその方が良いのだと思うようになりました。自信がないからこそ、私の中からは“確信の一言”しか出てきませんから」

「自信」と「確信」の関係とは

ここで、先の事例を踏まえた上で、自信と確信の違いについてご説明いたします。「自信」とは、過去の経験や現在の能力に基づいて、自分で自分に高い評価を与えることで発生するものです。

「確信」とは、人間の持つ潜在的洞察力を駆使することで発生するものです。現実や人としっかり向き合うことで発生しやすくなります。

「確信」とは、人との繋がりの中でこそ、生まれてくるものです。

しかし、過去の経験や実績に過度の自信を持ち、縛られ過ぎている人は、意識が自分の内側に籠ってしまい、確信が生まれにくくなってしまいます。

自分の内側から自分の意識を解放・開放し、外の世界(人、現実、現象など)と向き合うことで、私達は、人間が本来持っている直観力を発揮し、確信が生まれます。

自信があろうがなかろうが、確信は生まれるものです。「自信」と「確信」は別個のもの、というのが、私の企業現場における実感です。

しかし、自信を持ち過ぎて固執し過ぎることで、自分の中にある確信に、自らが気づけなくなっている人も多いのです。「確信」や「直観」こそ、これからの時代の組織活性の大きなキーワードとなる気がします。今回、詳細をお伝えできなかったことに関しても、今後は一つ一つ具体的な記事にしていこうと思います。

今回は「自信」と「確信」という視点からの私の「実感」をそのまま書かせていただきました。皆様はどのようにお感じになるでしょうか。

<著者プロフィール>

竹内直人
KANAME Data Campus
研究所長

株式会社ITSUDATSU顧問・アドバイザー。KANAME Data Campus研究所長。株式会社真本音代表取締役。組織開発のスペシャリスト・チームパフォーマンスコーチ・真本音コミュニケーション開発者。コーチングがマイナーな27年以上前から質問中心の人材育成手法を使い、250社6万人以上をサポートする。現場の中から見出した真本音コミュニケーションを使い、「自律調和型組織」を創り、社長の想像を超える業績を残す組織を創り出している。