――雨が降り出したときのアスファルトの匂い(ペトリコール)が好きなんですが…

Alex:あれは土っぽい匂いですよね。どうかな…いや、もしかしたらできるかもしれません。というのは、いま調香師さんがディフューザーを使って香りを作っているんですけど、 思いもかけない素材から思いもよらない匂いが作れたりするんですよ。

「なんか青リンゴの匂いできたよ」、「(意図してではなく)偶然できちゃったよ、Alex」と。偶然できたレシピでも、同じ比率で再生すれば同じ匂いになるので再現可能です。

なので、カートリッジが12個になったときもそういうことが起こり得る。「これもしかして、ペトリコールじゃん?」ってなる可能性はあります。ただ、食べ物の香りは多分できないですね。それまた全然違うジャンルなので、カートリッジが足りないんです。

――将来的にはカートリッジがもっと多いディフューザーも出てくるでしょうか。

Alex:エレコムさんだけでなく他のメーカー企業さんが「カートリッジ25個の製品を出します」というのはあり得る話です。ただ、 基本的には当社は音楽で例えるとiTunesで、ディフューザーはスピーカー。 iTunesとスピーカーのメーカーは全然別物で、 ユーザーがどのスピーカーで聴いてもiTunesには関係ないですよね。それと同じなんです。

プラットフォームとしてのプレゼンス

――配信プラットフォーム「Scent Store」に加えて、香りの世界共通フォーマット「Universal Scent Format」をいち早く開発・展開している御社は、香りビジネスの業界において有利な立場では。Horizonがフォーマットを持ってるから、香りビジネス後発の競合もこのフォーマットを使うことになると。

Image Credits:Horizon


Alex:有利とは思います。ただ、僕らがどれだけ強いか、当社のプレゼンス次第ですね。どれだけユーザーを抱えていて、僕らのフォーマットを採用したディフューザーが世の中に何種類あるかによります。「世界の総人口が80億人のところ、当社ディフューザーが50億台出てます」となったら、他社も絶対僕らのフォーマットを使うんですよ。でも、10台しかないとなったら他社は自分のフォーマット作るでしょうから、そこのプレゼンスの問題ですね。