もし、これ以外に聡明な日本国民が円安という愚策中の愚策を20~30年にわたって耐え忍んできた説得力のある理由を思いつかれた方がいらっしゃいましたら、ぜひお教えください。
全要素生産性が示す贈収賄奨励法の凄まじい重荷第二次世界大戦後の日本経済史が基本的にまっとうな発展の歴史で、直近20~30年の「不調」も意図的な韜晦であり、心棒は健全に保っています。
それとは対照的にアメリカの戦後史は、腐敗堕落の連鎖でした。次の3枚組グラフが転落の歴史を如実に物語っています。
上段のグラフでは1920~70年の全要素生産性成長率が年率換算で1.89%となっています。ただ、この半世紀の中には大きな変動があって、1940年頃に天井が来てしまったあとはハイテクバブルが膨張を始める1990年代半ばまで下がりつづけたことは、すでにご紹介したとおりです。
それにしても、1946年にロビイング規制法という名の贈収賄奨励法が制定されて以来の凋落ぶりは目を覆いたくなる惨状です。
大企業が地道な経営改善努力なしでも政治家にワイロを渡せば増収増益が確保できるとなると、これほど生産性は下がるものかとあきれるほどです。
とくに第二次世界大戦終結直後は、世界中の先進国で生産設備がほぼ無傷で残っているのは自国のみ、民間人はほとんど戦争の犠牲になっていないことを考えれば、アメリカ経済の前途は洋々としていたはずです。
ところがアメリカ国民、とくに連邦政府レベルの政治家たちは正直な経済を営みつづけて洋々たる前途を実現する道ではなく、安易にカネを儲ける道を選んでしまったのです。
なお、左下のグラフで1970年代前半に成長率の傾斜が緩やかになるのは、世間的には第1次オイルショックの影響とされることが多いのですが、この頃からアメリカの基幹産業が自国の市場を日本企業に食い荒らされ始めたからだと思います。
さらに右下のグラフで1990年前後に全要素生産性伸び率が急上昇しているのは、日本経済がバブル崩壊でしゅんとしていた時期に一過性でアメリカ経済全体が急回復したからでしょう。