こんにちは。

今回もまた、先日ユーチューブでアップロードした第73回勉強会『20世紀はいつ終わったのか 凝集篇』について、話すだけでは足りなかったところを大幅に補足した文章にまとめようと思います。

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日銀の円買い介入が円安への流れを食い止めたのか?

外国為替市場では「日本政府と日銀が連携した円買い介入によって、本来1ドル300円とか500円とかの極端な円安になるはずだった日本円を140~150円台に高止まりさせることに成功した」という評価もあるようです。ほんとうにそうでしょうか?

こうした評価は、政府・日銀が結託して自国通貨である円を安くしようと執拗に介入してきた歴史をまったく無視した暴論だと思います。まず、次のグラフをご覧ください。

1994年以降2024年3月までの期間で、1ドルが日本円でいくらになっていたかの折れ線を背景に日本政府・日銀による為替市場への介入の歴史を年表ふうにまとめたグラフです。

白の文字が(円安を狙った)円売り介入、そして緑の文字が(円高を狙った)円買い介入です。単純に項目を比較しただけでも円売りが10回に対して円買いがたった3回、圧倒的に円を安くしようとする円売り介入が多かったのです。

なお、このグラフ最後の項目である今年3月の口先介入のあと、4~5月と7~8月に実際にドルを売って円を買う介入をしています。この2度の円買い介入をそれぞれ別件として数えても、やはり円売り介入10回に対して円買い介入は5回にとどまります。

異常な自国通貨の価値毀損を続けた政府・日銀

さらに、政府・日銀が円売り介入をする場合には、1994~95年に約1年半、米国政府がドル防衛のためにドル買い・円売りを続けた際にお付き合いしてひんぱんにアメリカドルを高く、日本円を安くというドル買い・円売り介入を続けていました。

1999年1月から2000年4月にかけての16ヵ月間でも、日銀はアメリカの中央銀行である連邦準備制度(Fed)や欧州中央銀行への依頼もふくめて、合計18回も円売り・ドル買い介入をして必死に円を安くしようと画策してきたのです。