このNDRCの不作為を「経済目標に対する自信を示し、景気刺激策を見送った」と解釈する声さえ出てきており、確かにそれは最悪で、しかもこれまでの習近平政権が度々やらかしてきたパターンであった。
巨大国家の計画経済の中枢部であるはずのNDRCの幹部の劣化ぶりは見苦しいものであったが、公平に見て、長年資本市場を無視してきた政権が、金融市場に向き合ってきたわけでもないNDRCの幹部達に対し、いきなり資本市場の目を意識しろ、つまり株式投資家が聞きたい話を話せというのは無理がある。
中身がないなら財政部より前に会合を開かなければいいのに無理に目立とうとしたのは、政権の方向転換を察知して決意をお上にアピールしようとした組織の論理であったに違いない。そもそもNDRCは経済計画や投資政策を通じて財政赤字の規模に影響を与えることはあっても、財政赤字の策定そのものはあくまでも財政部の責任である。
従ってNDRCから出て来るお金の話が、これまでに確保した枠内にとどまるのはある意味当たり前である。財政出動への期待が全く消えるというのは、これまた極端から極端に振れているのである。
週末には財政政策期待の本丸とも言える財政部の記者会見が控えている。国慶節明けの乱高下を通して金融市場の期待はようやく2兆元程度に収斂した。注意すべきは、財政赤字は財政部が勝手に数字を書き換えるものでもないことである。
もちろん力学としてはそうであるが、いかに後者が飾りにすぎないとはいえ、国務院と全人代が承認しないと決定できないものを、財政部が先にアナウンスするのは僭越である。財政部単体で即日発表できるのはせいぜい、これまでの予算枠組み内の国債前倒し発行や、これまで使わなかった枠の活用程度と思われる。
そもそも海外投資家の期待とは逆に、中国当局にとって財政赤字の拡大はまだ恥ずかしい、大っぴらにアピールすべきでない措置とまだ思われている可能性が高い。2023年10月の1兆元の補正予算は全人代常務委員会で可決されて登場した。安直に考えると今回も月末にかけて同様のプロセスを踏むのではないか。