結果、スタッフ2人の日の店の売上は減ってしまいました。

3人とも出勤の日も、もはや以前の仕事仲間の関係ではいられません。

BさんとCさんは、明らかに仕事のできないAさんが突然50%も昇給したのに、自分の給料は全く変わっていないことに不満を持っています。

Bさんは、自分とAさんも時給が同じことで、自分の5年間の頑張りが全く評価されていないと感じています。また、自分と同じ時給を得ながら、楽な作業しかしないAさんに不満が溜まっていきました。

そこで、店主はAさんに、単純作業だけではなく、接客など他の2人と同じような業務もやってほしいと頼みます。

Aさんは、苦手な接客はしたくありません。急にそんなことを言われても困ってしまいました。

このように、最低賃金が政府の命令により突然上がったことで、この平和な飲食店では、大きな変化がおこりました。

スタッフが2人だけの日は、人手が足らず売上が減りました。

スタッフが3人の日も、職場の人間関係・仕事内容にに不平・不満がたまり、次第に頑張る気がなくなっていきます。

そして、店の売上は徐々に低下します。

それに伴い、店の利益も低下し、優秀なAさん、普通に頑張っているBさんの昇給はますます遠のきます。以前は支給されていた臨時ボーナスもカットされてしまいました。

話をかなり単純化しましたが、最低賃金規制により、このようなことがおこると想像できます。

一気に1500円に上げることはないとしても、程度の違いはあれ、このようなことが多くの特に小さな店では現在も起こっています。

技術や経験が豊富で今後もバリバリ頑張って働きたい人と、技術も経験もないけど仕事はほどほどにしたい人。

どちらの働き方もその人の人生観・価値観です。

しかし、賃金は店の利益から支払われるので、利益をあげることができなければ賃金もそれなりになります。

どちらの働き方でも、その労働者の人生観やそのときの状況によって選べるほうがよいのではないでしょうか?