最低賃金が1500円になる前、3人はそれぞれ1000円、1500円、1800円で雇用されていました(店側は、1時間あたり合計4300円を人件費として払っていました)。

そこで最低賃金が1500円に引き上げられたとします。

最低賃金以下で雇用を継続することはできず、解雇もできないため、時給1000円だったAさんの賃金は1500円になります。

つまり、Aさん1500円、Bさん1500円、Cさん1800円になります(店側は、1時間あたり合計4800円を人件費として払うことになります)。

1時間あたりの人件費が4300円→4800円と急に上がったことで、店は経営が苦しくなり、Aさんのシフトを減らしてもらうことにしました。

※店のメニューを値上げすればいいじゃないか、という意見もあるかもしれませんが、値上げすれば売上が増えるとは限りません。値上げしたことで、販売数が減るかもしれないからです。詳しくは以下をご覧ください。

1杯のラーメンから考える「価格」の難しさ|自由主義研究所
こんにちは。自由主義研究所の藤丸です。 4ヶ月前に書いた「経済とは人間の行為だ」という記事が100すきを突破しました‼読んでくださった皆様、ありがとうございます😊 未読の方、ぜひ読んでいただけると嬉しいです ↓ 今回は「価格」の話です。 個々の商品の価格(値段、料金)は、売り手が最終的に決定しています。 例え...

さて、3人の労働環境はどのように変わったのでしょうか?

Aさんは、シフト時間は減りましたが、当分は不満はありません。時給があがったことに単純に喜んでいます。

BさんとCさんは、給料が変わらないのに、労働がきつくなったことに不満です。今まではスタッフ3人で店内業務を回していたのに、Aさんのシフトが減ったため、これからは週に2回はスタッフ2人で回さないといけなくなってしまったのです。

Aさんはできない仕事が多く単純作業のみをやっていましたが、それでも2人は助かっていました。2人で回すとなると、店はバタバタと忙しくなり、客を待たせる時間も長くなり、客が諦めて帰ってしまうこともありました。